NIKKEI DESIGNに掲載していただきました。
以下、転載。
メゾン・エ・オブジェ報告
欧州気鋭のライフスタイルブランドが大集合
欧州最大級のインテリア見本市「メゾン・エ・オブジェ」が2025年秋も開催された。
サステナビリティーへの配慮が必須の時代に、ものづくりとデザインはどうあるべきか。
気鋭の欧州企業の他、アジアや日本からの出展企業も含め、注目企業を紹介する。
インテリアを中心としたライフスタイル商品全般の国際見本市「メゾン・エ・オブジェ」。パリ郊外のパリ・ノール・ヴィルパント展示会場で年に2回行われ、2025年秋も長いバカンスが明けたばかりの9月4~8日に開催された。
業界関係者を対象に25年4月に実施したリサーチ「メゾン・エ・オブジェ・バロメーター」によると、「あなたにとって、明日の創造性、デザイン、流行、新製品とはどんなものか?」という問いに対する答えで一番多かったのが、「サステナビリティー」。2番目は「オリジナリティー、ユニークさ」、3番目は「テクノロジーやAI」が並ぶという結果だった。
最近のものづくりにおいては商品がサステナブルであること(素材の選択、長く使える耐久性、廃棄・リサイクルまで考慮したデザインなど)が必須だが、その前提には地球や未来の人々への思い、愛や優しさがあるのだろう。こうした流れにきちんと対応し、25年らしい新しいプロダクトを見せてくれた企業を次ページから紹介したい。
一方、日本企業の出展は減少した。歴史的な円安で参加費用が高騰していることも大きいが、欧州市場開拓にかける日本企業のエネルギーに、陰りが出ていることを感じさせた。逆に韓国、台湾、中国は繊細なデザインで台頭してきている。
欧州で羽ばたく上質シルク
「KOHARU」は歴史のあるシルク糸メーカー長谷川商店が作ったショールや手袋などのアパレルブランド。上質なシルク100%の手触りは素晴らしく、若いデザイナーによる鮮やかで優しさのある色合いも目を引く。高品質なだけに高価。日本ではブランドの知名度がないとなかなか売れないが、欧州なら商品の魅力だけで挑戦できると考えて、欧州市場の開拓に力を入れている。今回で4度目の参加だ。